在宅医療を考える ~父の事(14)~
◆「病と生きる」最終回◆
医療従事者として難病患者の家族として、在宅医療を利用した側として、今後、在宅医療を利用する事になるかもしれない御家族のご参考になればと思い、感じた事を書いていきたいと思います。
①クリニック・医師選びはしっかりと
在宅医療を利用したくても、地方だとクリニックが少なく選択肢がありません。24時間対応と書かれていても、実際はそうでないところもあります。
ケアマネの方や、利用している方の評判をしっかり聞いたうえで選択してください。
父が利用していたAクリニックの院長は、患者さん・ケアマネの友人・看護師の友人からは悪い話しかなかった。ケアマネの友人は、ここの院長があまりにも評判が悪いので、患者さん達に紹介できないと言っていました。
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②医師・看護師・患者の立場は対等です
たまに、勘違いをして患者に暴言を吐く医師がいます。私はAクリニックの院長は、絶対に許さないし、呪い続ける(笑)Aクリニックの他の先生たちはとても素晴らしい臨床医で、とても感謝しています。
患者さんの中には、「お医者さんに来ていただいている」と思っている方も多いのですが、利用者として医療サービスの対価としてお金を払っているのです。威張るのはどうかと思いますが、立場は対等です!
おかしい。納得できない。不愉快。という事があったら、しっかりと意見を言ってください!我慢する必要はありません。他の先生に変えてもらいましょう。
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③食事は命の糧
誤嚥が出始めたので、嚥下食を丁寧に作りました。幸いにして薬膳と中薬を齧っているので、薬膳と中薬をベースにし食べやすく栄養のあるものを食べさせたら、自分で歩いてトイレに行くまで回復しました。
勿論病気が良くなったわけではなく、食べられることにより栄養状態が改善され、一時的にサルコペニアが改善されただけなのですが、医師や看護師、薬剤師の方が驚いていました。
食事というのは、ただ単にお腹が膨れればいいとか、栄養があればいい、というものではありません。五感をフルに使い、内臓も動かします。そして、天の気・地の気を受けて育った物を調理をすることで気を整え、身体に天と地の気を取り込む事です。父は頑なに胃瘻を拒みましたが、胃瘻に高栄養のゼリーを流し込む事は、果たして「食事」なのでしょうか?
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④最後は救急車は呼ばない
父は他界する2日前からしきりに救急車を呼んでくれ、と言っていました。しかし、救急車を呼ぶことはいいことなのか、ずっと考えてました。
生きられる可能性があるのなら、躊躇なく救急車を呼んだ方が良い。
訪問医療というのは、一種のターミナルです。しかも脈を診たら死脈が出ている。もう長くない。そういう時は救急車でなく、訪問医療の医師に連絡が正解だと思います。
父の脈は既に死脈だった。数時間の延命の為に、無理矢理挿管されて苦しい思いをさせるのなら、処方されているモルヒネ坐薬のアンペックをしっかり使い、苦しくないようにしたかった。そして、自室のベッドで苦しまないで逝きました。私は、良い死に方だと思いました。
父を見ていて、病気で死ねるという事は幸せな事だと思った。
私の隣人や知人は、東日本大震災の津波で一瞬のうちに死んでいった。
病気で死ぬという事は、治療する・延命する・対症療法するという選択肢がある上、死に向かっての準備が出来る。本人も家族も。
父は、ALS(筋委縮性側索硬化症)だったからモルヒネ坐薬のアンペックが処方されていたけれど、ターミナルの患者さんにはもっと積極的にオピオイド鎮痛薬を処方して、苦しまないようにしてあげる必要があると感じた。
本人は苦しいから、痛いから。家族は苦しんでいる、痛がっているのを見るのが辛いから。救急車を呼んで何とかしようと思うのだ。オピオイド鎮痛薬、もっと使えるようになって欲しい。
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