薬用としてのヨモギ(1)
◆二日灸テキストからの抜粋です◆
先日の二日灸講座のテキストに載せたヨモギについてです(^^♪
1~3世紀頃(後漢から三国頃)に中国で書かれた「名医別録」に記載されています。
学名はArtemisia princeps Pampanini
又はヤマヨモギ A.montana Pampanini
Artemisia : ギリシャ神話の女神
Princeps : 最上の
日本各地に自生し、旺盛な繁殖力から「佳く萌える草」なので「佳萌草(よもぎ)」という説と、もぐさに因み「良燃草(よもぎ)」という説があります。属名のArtemisiaは、ギリシャ神話の月の女神アルテミスが婦人病に賞用したことから、女性の健康の守護神と言われたことに由来します。ヨモギは洋の東西を問わず、昔から婦人病に使われています。
↓ ギリシャ神話 月の女神アルテミス
ヨモギの葉は「艾葉(がいよう)」、実は「艾実(がいじつ)」と呼ばれ漢方薬としても使われています。
「艾葉」(中医大辞典より引用加筆)
〔性味〕 苦 ・ 辛 、温、有少毒。
〔帰経〕 脾 ・ 肝 ・ 腎経。
〔効能〕 温経散寒 ・ 止痛 ・ 止血 ・ 安胎。
〔主治〕 ①治月経不調、痛経、崩漏、帯下、 宮冷不孕、胎動不安、腹中冷痛。
②治吐血、衄血、便血、血痢。
③近用治慢性気管支炎。煎服 : 3~6g。
④治疥、癬、湿疹。研末調敷或煎水熏洗。止血炒炭用。干叶搗絨、制成艾巻、艾炷、供灸療用。
艾葉にはシネオールやツジョン(ツヨン)などの精油が含まれ、特有のさわやかな香りとすっきりとした味です。
シネオールはヨモギだけでなく、ユーカリ属の植物やローリエ、バジリコ、ニガヨモギ、ローズマリー、セージなどにも含まれ、こころよい芳香と味を持つので食品添加物や香料、化粧品に利用されています。抗炎症・鎮静作用があると言われ、副鼻腔炎の治療に効果があると報告されています。
ツジョン(ツヨン)はニガヨモギ、ヨモギ、セージなどの精油成分でメントール様の香気があります。リキュールの一種であるアブサンの成分として良く知られています。大量摂取すると麻酔作用、嘔吐、幻覚、錯乱、痙攣などに陥らせ、習慣性がありますが、ニガヨモギ生草で数kg以上摂取しなければこのような症状は出ません。
中医大辞典に「有少毒」とあるのは、「現代中薬学大辞典」によるとラットに煎じた溶液やヨモギ精油を腹腔に注射すると死亡する場合があるからなのですが、ラットと人間の大きさを比較すると、大量摂取しない限り影響はありません。
〈参考〉
ラット LD50
・ 艾葉煎剤の腹腔注射 23g/k
・ 艾葉の精油を胃に注入 2.47ml/kg
艾葉の精油を腹腔注射 1.12ml/kg
日本で草餅などに利用されている一般的なヨモギは、カズザギヨモギ。お灸用に使われるのはヤマヨモギ(オオヨモギ)。
ニガヨモギは日本には自生していないと言われていますが、どうやら自生しているみたいです(^^;)
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