「枇杷の葉療法」を考える
◆「アミグダリン」は「ビタミンB17」??◆
昨年末、 農林水産省がこんな注意喚起をしました。
鍼灸師なので、枇杷の葉を使った「枇杷の葉灸」は知っていますし、鍼灸学校でも実習でやりました。患者さんからも「枇杷の葉灸」のリクエストがあったので、昨年は枇杷の苗木を植えました(^^♪
→ 黄山貢菊と枇杷
私が子供の頃、枇杷の木は「病人が絶えない」といわれ、縁起が悪いから植えてはいけない。と言われてました。
今考えると、薬効の高い枇杷を貰いに病気の人が訪ねてくるので、そう言われていたのでしょう。きっと、何らかの感染症などもあったでしょうから、家族が病気にならない為の戒めとしての意味もあったのではないでしょうか?
患者さんから「枇杷の葉灸」のリクエストがあったので、枇杷の葉療法を調べ始めました。
何冊か本も読み、「なんか、おかしくないか?これ?」と思いました。
「アミグダリン」が「ビタミンB17」???Σ(゚Д゚)
枇杷の葉温灸のセットって高い!!!Σ(゚Д゚)
…本とセットって……(-言-)
枇杷の葉、こんなに高いの?!Σ(゚Д゚)
それにしても、「アミグダリン」が「ビタミンB17」というのはちょっと納得が出来ない。
ビタミンの定義とは、
「ビタミンとは、生物が正常な生理機能を維持する為に、その必要量は微量ではあるが、自分ではそれを生成・合成できず、他の天然物から栄養素として取り入れなければならない一群の有機化合物である」とされる。
「アミグダリン」は正常な生理機能を維持するのに必須物質でなく、欠乏症としての症例もないので、ビタミンとは言えないのです。
アミグダリンは胃酸で分解されると青酸を放出するので、一定の咳止め・鎮痛作用はあります。漢方薬では咳止めとして活用され、少量であれば薬効が期待されます。
枇杷の実、枇杷の葉は1~3世紀頃編纂されたとされる「名医別録」に既に記載されていて、昔から薬効のある植物として活用されていました。
枇杷の花が薬としての記載されるのは1596年明代の「本草綱目」。
枇杷の種子「枇杷核」は、1695年清代の「本経逢原」にやっと薬として記載されます。
私が調べたので、間違っているかもしれませんが(^^;)
枇杷自体はキチンと薬効があります!
枇杷の葉は、肺に熱がある咳嗽・喘息などに用いたり、胃熱嘔吐・口の渇き・吃逆(しゃっくり)などにも使います。
枇杷の葉灸も昔から効果があると言われています。
枇杷は薬効がありますが、万能薬ではありません。
問題は、「アミグダリン」は「ビタミンB17」だ と言う人がいる事。と、枇杷の種子を粉状にして大量摂取する事です。大量摂取は青酸中毒を起こす可能性があります。
枇杷の葉・種子は少量のアミグダリンを含む。と理解して活用してください(^^)
「中医大辞典」の枇杷核(枇杷の種子) には、「有少毒」と記載がありますが、少量であれば中毒したり、致死量になることはありません。
色々な本を参考にすると、1日に枇杷の種子1〜2個程度が適量かな。それ以上は摂取しない方が良いと思います。
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