健康格差~あなたの寿命は社会が決める~
◆「自己責任」で済ませられますか?◆
年末年始の休みに遣りたいことが沢山あったけれど、結局何も出来ずに終わってしまいました(ToT)
ハンドメイドで作りたいものがあったけれど、材料をそろえただけ(^^;)
暴飲・暴食・惰眠・読書に耽っておりました(笑)(^^;)
昨年末に読み終わっていたけれど、衝撃が大き過ぎて、うすら寒くなった本があります。
「健康格差 ~あなたの寿命は社会が決める~」
NHKスペシャル取材班
鍼灸師として健康に携わっている医療従事者として、やはりこのテーマは気になる。
特に昨今の全てにおける「自己責任」という言葉の重さと軽薄さには、違和感を覚えていたので、「健康における自己責任」について気になっていた。
好きなものを好きなだけ食べて、運動もしない、健康診断にも行かない。自分が悪いのだから病気になっても仕方がないのに、何故キチンとした生活をしている健康な私達が不摂生をして病気になった人を支えなければならないのか? 自己責任だろ?
こう思う人が多いかもしれません。
正直、医療従事者の私でも「病気になるまで飲み食いするな、自己責任。」と思う事がある。
でも。この本は、そんな目先の事を言っているのではない。
第1章 すべての世代に迫る「健康格差」では、
*非正規の方の食生活は炭水化物を多くとる食事に偏りがちで、米・小麦・じゃがいもの3点セット。安くて、こってり味で、すぐにお腹いっぱいになるものを好むようになる。激安の牛丼は最たるもの。
*出生時の低体重児は、成人になってから糖尿病や心臓病で命を落とす確率が高く、低体重児の多い家庭は、両親が生活に追われていて余裕のない世帯。
◆言い方が悪いが、生まれる前から既に健康格差があり、生まれてからも食べる物で健康格差に拍車がかかっている。
第5章 白熱討論!「健康格差」は自己責任か?で、
評論家の宇野常寛氏は、「僕は国家とか社会っていうのは、サイコロ振って変な目が出ても、ちゃんと生きていけるためにあると思うんですよ。…」
同じく第5章で、芥川賞作家の平野啓一郎氏は、「…財政的な問題が、いまどんどん社会の人心を荒廃させているというか、人に対するとげとげしさを増している感じがするんです。…」
◆財政が逼迫し、困っている人を「自己責任」という言葉で、切り捨てるという風潮がある。「自己責任」という単語を振りかざし、支援しなくても良い言い訳に使われている。確か、イラクで日本人が拘束された時に「自己責任」という単語を使ったのが、小泉純一郎や小池百合子だったと記憶している。これ以来、全て「自己責任」と言われてしまうようになった感じがする。恐ろしい。
WHOは健康に影響を与える社会的要因として、「雇用形態」「所得」「家族構成」「地域」の4点を挙げている。
「健康格差」が起きることと「社会保障の機能不全」の原因は同じであり、表裏の関係である。
この本では、解消する対策として、『ポピュレーション・アプローチ』を挙げている。弱者救済型の考え方から、「全員救済」という形の取り組みだ。
足立区の「ベジタベライフ」、幸手市の「幸せキャバレー」「幸手プロジェクト」、武豊町の「憩いのサロン」など、成果をあげている地域もある。
・地域全体が個人の健康リテラシーをアップして継続できる体制が必要
・評論家の宇野常寛氏の「僕は国家とか社会っていうのは、サイコロ振って変な目が出ても、ちゃんと生きていけるためにあると思うんですよ。」この考え方
私の結論として、健康格差は経済格差であり、社会保障の崩壊。石井光太氏の「絶対貧困」を思い出し、背筋が寒くなった。「自己責任」では済まない段階にまで、確実に来ている。
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