漢方薬としてのマムシ ①
◆マムシの薬効◆
ヘビ研50周年なので、ヘビネタが続くことをお許しください(^^;;
マムシも漢方薬として使われているので、これを機会にキチンと調べてみようと思い、手元にある本を改めてじっくり見てみました。
ニホンマムシ
全長は40~60cm位の小型のヘビ。北海道産のニホンマムシは比較的大型で60cm以上のものが珍しくない。ずんぐりしていておとなしい。もちろん毒ヘビ。
こちらは中国産のタンビマムシ
ニホンマムシより少し大きめ。薬効に差はないと言われています。
ニホンマムシと模様が少し違います。ニホンマムシより神経毒が多めの毒蛇。
↑ これもタンビマムシ
「食物性味表」(燎原書店)によると、
蝮(蝮蛇)
【性味】甘鹹・温
【帰経】肝経
【効能】袪風湿、強筋骨
【適応】関節痛、小児のひきつけ、四肢のこわばり、顔面神経麻痺
【作用】体力増強
【有効成分】必須アミノ酸、ビタミン類(特にVB12)、Fe、Ca
「中医大辞典」(人民衛生出版)
蝮蛇
又名土球子、土虺蛇、反鼻蛇、地扁蛇。
甘,温,有毒。袪風、攻毒。
①治麻風,癩疾,風痹,中風半身不遂,破傷風,胃痙攣。内服:浸酒飲:或焼存性研末呑,毎次3~6g。
②治瘰癧,搭背。入磁器内,香油浸,埋地下,百日後取出晒半干,搗成膏状物敷患処。
(以下略)
「中薬大辞典」(上海科学技術出版社)
蝮蛇
【異名】虺,反鼻,土虺蛇,反鼻蛇,碧飛,方勝板,土錦,灰地匾,草上飛,七寸子,土公蛇,狗屙蝮,爛肚蝮,土球子,地扁蛇。
(中略)
【炮制】蝮蛇霜:取蝮蛇煅焼存性,研成粉末。
【性味】甘,温,有毒。
【攻用主治】袪風,功毒。治麻風,癩疾,皮膚頑痹,瘰癧,痔疾。
【用法与用量】内服:酒浸或焼存性研末。外用:浸油、酒漬或焼存性研末調敷。
(以下略)
性味を見ると、「有毒」となっているけれど。
個人的な考えとしては。熱によって無毒化出来るのでは?思います。
以前書いた「中医学での蝮咬傷を考える」に、本当は書きたかったけれどエビデンスがないので書きませんでしたが、毒蛇咬傷症に焼灼灸や透熱灸は効果があると思っています。
もちろん抗毒素を使ってほしいですが、山奥で咬まれてなかなか下山できない状態での、抗毒素治療までの応急処置としてポイズンリムーバーで毒を吸い出した後、焼灼灸や透熱灸をする。
ベノムは蛋白質なので、熱を加えるのもありかと。蜂に刺された時は、抗ヒスタミン剤を塗るよりお灸の方が良く効きます(^^)
なので、「中医大辞典」「中薬大辞典」で、「有毒」とありますが、火を入れているので毒は変性しているし、胃に入る事で胃酸で毒の蛋白質は更に分解されてしまうので、「有毒」と記載するのはどうなんだろうと思います。
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